Apacheモジュール開発記 その1
改めましてこんにちはxorです。その0を書いた後、あらぬトラブルに見舞われ、その解決に時間を取られておりました。情けない。
おさらい
さて、その0にて必要最低限のApacheモジュールの作り方を説明したが、ここで改めて簡単な説明をしておきましょう。
- apxs2が使える環境にする
- 前回はaptitude(apt-get)を用いた場合しか書いてませんでした
- yumの場合はhttpd-develをインストールすると良いらしい(参考:http://ke-tai.org/blog/2008/01/09/mod_chxj_install/)
- $ apxs2 -n モジュール名 -g
- 「モジュール名」というディレクトリが生成される
- $ cd モジュール名
- ここから下はroot権限でやらないと失敗すると思うのでsu
- # apxs2 -i -a -c モジュール名.c
- Apacheの設定ファイルにモジュールのことを記述
- Apacheを再起動 $ apache2ctl restart
こうすると、「http://localhost/ディレクトリ名/」にアクセスすることで「The sample page from mod_モジュール名.c」と書かれたページが表示されるはずです。ここでは「モジュール名」とか「ディレクトリ名」とか書きましたが、どちらも任意のものを使ってください。例えばモジュール名が「gvr」なら、/etc/apache2/mods-enabledにはgvr.loadとgvr.confという名前のシンボリックリンクができていると思われます。こんな感じで、適宜置き換えて読んでください。…というのもかなりきついので、ここではmod_testというモジュールを作ります。モジュール名は「test」です。
あと、モジュール名とディレクトリ名は別に一致してなくても問題はありません。まぁ、今回は混乱を避けるために一致させておきます。そんなわけでディレクトリ名も「test」です。できあがったモジュールはhttp://localhost/testにて動作確認できます。
基本的な原理
さて、それでは早速apxs2によって生成したmod_test.cの中身を見てみましょう。こんな感じだと思います。
/* ** mod_test.c -- Apache sample test module ** [Autogenerated via ``apxs -n test -g''] ** ** To play with this sample module first compile it into a ** DSO file and install it into Apache's modules directory ** by running: ** ** $ apxs -c -i mod_test.c ** ** Then activate it in Apache's apache2.conf file for instance ** for the URL /test in as follows: ** ** # apache2.conf ** LoadModule test_module modules/mod_test.so ** <Location /test> ** SetHandler test ** </Location> ** ** Then after restarting Apache via ** ** $ apachectl restart ** ** you immediately can request the URL /test and watch for the ** output of this module. This can be achieved for instance via: ** ** $ lynx -mime_header http://localhost/test ** ** The output should be similar to the following one: ** ** HTTP/1.1 200 OK ** Date: Tue, 31 Mar 1998 14:42:22 GMT ** Server: Apache/1.3.4 (Unix) ** Connection: close ** Content-Type: text/html ** ** The sample page from mod_test.c */ #include "httpd.h" #include "http_config.h" #include "http_protocol.h" #include "ap_config.h" /* The sample content handler */ static int test_handler(request_rec *r) { if (strcmp(r->handler, "test")) { return DECLINED; } r->content_type = "text/html"; if (!r->header_only) ap_rputs("The sample page from mod_test.c\n", r); return OK; } static void test_register_hooks(apr_pool_t *p) { ap_hook_handler(test_handler, NULL, NULL, APR_HOOK_MIDDLE); } /* Dispatch list for API hooks */ module AP_MODULE_DECLARE_DATA test_module = { STANDARD20_MODULE_STUFF, NULL, /* create per-dir config structures */ NULL, /* merge per-dir config structures */ NULL, /* create per-server config structures */ NULL, /* merge per-server config structures */ NULL, /* table of config file commands */ test_register_hooks /* register hooks */ };
test_handlerという関数とtest_register_hooksという関数がありますね。しかし、お馴染みのmain関数がありません。
なぜなら、Apacheのモジュールは単独で動作するアプリではなく、Apacheに寄生するものだからです。つまり、main関数のように実行して終わり、では無いのです。代わりに必要な処理は
- Apache(母体)の起動の時に呼び出す関数
- Apache(プロセス)の起動の時に呼び出す関数
- http://localhost/testにリクエストがあったときに呼び出す関数
くらいでしょうか。いきなり浮世離れしてますね。
ですが、ソースコード中に出てくる文字列をよく見てみると、Webアプリを作ったことのある人ならお馴染みのキーワードが出てきていると思われます。例えば「r->content_type = "text/html"」とか「return OK」とか。
弄ってみる
試しにいろいろ弄ってみましょう。この「OK」って、実は「200 OK」のことです。その証拠に、この「return OK」を「return HTTP_NOT_FOUND」に書き換えてみてください。http://localhost/testにアクセスすると404 Not Foundが返ってくるでしょう。他にもHTTP_FORBIDDENとかHTTP_METHOD_NOT_ALLOWEDとかHTTP_GONEとか、いろいろなメッセージが用意されています。全部見てみたい方はhttp://httpd.apache.org/dev/apidoc/apidoc_HTTP_ACCEPTED.htmlを御覧ください。ただ、残念ながらRFC2324で定義された418 I'm a teapotは用意されていない…(まぁアレはHTTPじゃなくてHTCPCPなのだが)。
次に、content_typeを弄ってみましょう。初期値はtext/htmlですが、これをtext/plainにすれば全てがプレーンテキストとして表示されるはずです。application/xxにすれば「どのアプリケーションで開きますか?」とブラウザが訊いてくるかもしれません。まぁ、好きなMIMEタイプを書いて遊んでみてください。
最後に「The sample page from mod_test.c」ですね。ここも、書き換えればその通りに出力されます。また、ここではap_rputs関数を1回しか呼んでいませんが、もちろん2回でも3回でも呼んでいただいてOKです。例えば1回目で「jinsei」、2回目で「makegumi」を引数にして2回呼んだ場合、「jinseimakegumi」と出力されます。また、rputs関数の代わりにrprintf関数を使うこともできます。これはその名の通り、printf風のフォーマットを使って出力ができる関数です。例えば「ap_rputs("test",r)」の代わりに「ap_rprintf(r,"test")」と書いても、同じく「test」と出力されます。さらにap_rprintfはprintfと同等の機能を持つので、例えば「ap_rprintf(r,"add:%02d+%04d=%d",5,12,5+12)」と書けば「add:05+0012=17」と出力されます。
こんな感じで、雛型だけでも弄りまくってみてください。